10 日航機墜落の真相は? 1* 墜落時の政府首脳の対応
「INTEC JAPAN BLOG 」によると、この事故当時の行動についてはこのようにまとめられている。
『それでは、そのとき政府首脳はどういう行動をとっていたのでしょうか。JAL123便には、500人を超える人が乗っているのです。
その飛行機が行方不明というのですから、これは政府にとって、一大事です。当然のことながら、中曽根首相に報告が上がり、政府として緊急対策がとられることになります。
JAL123便の事故の直前に、英国のマンチェスター空港で航空機事故が起こったときのことです。
当時の英国のサッチャー首相はオーストリアにいたのですが、急遽帰国し、事故現場に直行して指揮にあたっています。
それに対して中曽根首相は何をしたでしょうか。
事故現場が地元の群馬県でありながら、本人は現場には行かず山下運輸大臣にまかせてしまっています。
山下運輸大臣は、事故の翌日、ヘリコプターで上野村を訪れています。
JAL123便墜落事故が発生した8月12日、中曽根首相は官邸にはおらず、事故の第一報は、今や有名人となっている平沢勝栄官房長官秘書官が受けています。
平沢秘書官は、直ちに藤波官房長官に連絡を入れています。
このあとの政府の対応については、明日のEJで詳細にお知らせしますが、その対応は疑惑に満ちたものであったのです。 ・・・[御巣鷹山事故の謎/24]
●事件はどの時点で首相に伝えられたか(EJ第1078号)
JAL123便墜落事故が起こった8月12日、中曽根首相は身内と一緒に軽井沢で休暇を過ごしていたのです。
そして、軽井沢駅を17時11分に発車する特急「あさま22号」に乗り、東京に向っています。
大宮着18時52分、上野着は19時15分でした。この時点では首相はまだ事故を知りません。
18時52分といえば、JAL123便がレーダーから消える2分前です。
18時24分40秒には緊急信号を発信しているのですから、大宮駅で「日航機が迷走中」という情報を首相に知らせることはできたはずですが、首相の耳には届いていなかったのです。
上野に到着した19時15分には事故発生は確実で、「行方不明」になっているのに、ここでも中曽根首相には報告されていないのです。
上野駅から公邸まで、首相は自動車電話の付いている首相専用車に乗り、19時47分に公邸に到着しているのですが、車中の時間が約30分もあるのに、首相への報告はなかったとされています。
依田秘書官によると、「行方不明」という情報だけではどうしようもないので、報告しなかったというのですが、不思議な話だと思います。
そして、首相は公邸前で待ち受けている新聞記者からJAL123便事故のことをはじめて聞き、「ほぉー、どこで?」と驚いたというのです。
一国の首相が、これほどの大事件の情報を新聞記者からはじめて聞かされるというのは、この国の危機管理体制の欠如を物語っています。しかし、これにはかなりウラの事情がありそうです。
昨日のEJでも述べたように、官邸にいた平沢官房長官秘書官には19時頃――つまり、墜落直後に運輸省航空局、防衛庁、警察庁から相次いで報告が入っていたのです。
平沢秘書官は直ちに、藤波官房長官に連絡をとって第一報を入れています。このときは官房長官と連絡がとれたのです。
しかし、それから30分近く連絡がとれず、やっと連絡が取れて、平沢秘書官は藤波官房長官に2度目の報告を次のようにしているのです。
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JAL123便の大坂着予定時間を過ぎました。事故発生は、
ほぼ間違いないと思われます。大至急お戻りください。
―――平沢勝栄官房長官秘書官
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そして、藤波官房長官は19時45分に官邸に戻り、すぐその2分後に中曽根首相は公邸に戻るのです。
首相が戻ると、依田秘書官は、はじめて事故の状況を立ち話で首相に伝えます。その間わずかに1分間。
その後首相は19時48分から予定に組まれてあった河本敏夫国務大臣との会談に入っています。
実はこの頃、三光汽船問題というのがあって、三光汽船の元社長である河本氏は苦境に立たされていたのです。首相との話はこれがテーマで辞任うんぬんがやりとりされたといわれています。そして、その会議が終ったのは、20時1分のことです。
そして20時16分――藤波官房長官と副長官が公邸に駆けつけて、16分間首相とJAL123便事故について報告が行われています。終了したのは20時32分です。
その後、官邸の大広間で事故対策本部の初会合が、23時から行われています。しかし中曽根首相がそこに顔を出したという記録はないのです。
そして、翌13日、午前5時30分に就寝中の首相に対して、墜落現場が中曽根首相の出身地の群馬県であることが伝えられていますが、とくに反応がなかったといいます。
しかし、以上はオモテの話です。中曽根首相は公邸に着く前にJAL123便墜落事故のことは知っていたと思うのです。それでは、その話はどの時点で首相に伝えられたのでしょうか。
事件が起こったとき、首相は東京に向かう特急「あさま」の車中にいたのです。ここで伝えられたとは考えにくいのです。
当時は、自動車電話はありましたが、今のように常時携帯電話を使える状況ではなかったからです。それに、首相のようなVIPは、セキュリティの関係から携帯電話は使用しないはずです。
そうなると上野から公邸に向かう車の中しかありません。すなわち、19時20分頃(上野着は19時15分)から、19時47分の間です。
相手は、藤波官房長官であると思います。この時間帯に平沢秘書官は官房長官と連絡がとれていないのです。
それでは藤波官房長官は、事故の連絡を何時頃受けたのでしょうか。平沢秘書官からの連絡は午後7時頃ですが、それよりも前に官房長官はJAL123便が墜落するいきさつについて、報告を受けていたと思うのです。
推測ですが、その時間はJAL123便が2機の自衛隊機とやりとりをして、横田基地を前にして御巣鷹山方向に旋回した頃――18時50分前後ではないかと考えられます。
その頃中曽根首相の乗る特急「あさま22号」は、大宮に到着する直前だったのです。
それでは報告者は誰でしょうか。それは加藤紘一防衛庁長官しかいないと思います。
2機の自衛隊機からの報告で、JAL123便の尾翼に実験用ミサイルの衝突の跡があることがわかって自衛隊幹部は、横田基地への着陸を阻止したのですがそのことについて、加藤防衛庁長官が首相に報告しないはずはないと思うからです。
そこで、加藤長官は官房長官に連絡したのです。
そこで、藤波官房長官は、上野から公邸に向かう車中で首相に報告し、指示を仰いでいるはずです。
その結果、首相はあくまで知らなかったということにし、できるだけ早く幕引きを図ることが話されたと思います。内閣存続の一大事であるからです。
上野から公邸まで異常に時間がかかっているのは、そういう話があったからではないでしょうか。
その後の中曽根首相のこの問題への対応は、口では「事故原因はできる限り迅速に徹底的にやらせる」といいながら、事故調からの調査のための特別予算の請求を一蹴するなど整合性がなく事件の隠蔽に全力を尽くしたとしかいえないのです。
そして、首相は最後まで墜落現場には行っていないのです。 ・・・[御巣鷹山事故の謎/25]
2007年09月26日
●賞賛されるべきスチュワーデスの沈着冷静さ(EJ第1079号)
当時中曽根首相は、記者会見や国会答弁において、次のようにいっていたのです。
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1.事故原因は徹底的に究明する
2.人命最優先でことに当ること
3.遺体の捜索は最後の一体まで
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しかし、中曽根首相は、これと正反対の姿勢でコトに当っているのです。
第1の事故原因の究明ですが、事故調査委員会は早期の海底調査を行う必要があるとして特別予算を計上したのですが首相は何のサポートもせず、却下されているのです。徹底的に調査されては困ることがあるからです。
第2の「人命優先」ですが、事故が起きた当日の午後7時過ぎには、どこに墜落したか政府としては分かっているはずなのに、「行方不明」として朝まで発見を引き伸ばしています。
墜落直後には、相当の生存者がいたことが生存者の証言によって明らかになっているのですから、結局は彼らを見殺しにしたことになります。何が「人命優先」でしょうか。「政権維持優先」です。
第3の「遺体の捜索」ですが、事件後9日にして、古屋国家公安委員長は、「全遺体の収容は困難、捜査の打ち切り」を首相に進言し、少しでも早く合同慰霊祭をして、事件の幕引きを図ろうとしているのです。
これに対して、首相は何らリーダーシップを発揮することなく、事故原因は隠蔽されたまま、事件は幕が引かれてしまったのです。日頃リーダーシップを売り物にしていた中曽根氏とは別人のようなやる気のなさです。
考えてみれば、中曽根内閣のときに際立って前進したのが防衛問題でした。次期防衛計画、シーレーン防衛論、防衛費の対国民総生産(GNP)比1%枠の撤廃論――こういう動きの中で、日米共同でミサイルの開発が行われたのでしょうが、それがとんでもない事故を起こしてしまったというわけです。
何か問題が発覚しそうになると、組織として隠ぺい工作に走る――それが官僚の真骨頂ですが、中曽根内閣もそれと何も変わるものではなかったのです。
もし、真相がEJのレポートの通りであるとすると、国家犯罪そのものです。』
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